センターラインの「溝」で正面衝突事故が激減

 より安全で快適な道づくりを求める、さまざまな要望が寄せられています。道路舗装のエンジニアは、多くのアイデアを出し合い、「創意工夫」を重ねながら新技術・新工法を開発し、要望に応えてきました。
 中でも強い要望は、交通事故の撲滅です。残念ながら、今日でも、ドライバーの前方不注意やわき見運転、居眠り運転などによって、車がセンターラインをはみ出して、対向車と激突する「正面衝突事故」が後を絶ちません。
 「交通事故を減らしたい」という技術者の熱い意気込みで開発したのが、切削型注意喚起舗装「ランブルストリップス(Rumble strips) 」です。この工法は、新規開発した機械でセンターライン部の舗装表面に等間隔の切削溝を設けることで、センターラインを逸脱した車に振動と音で注意を促し、事故を未然に防ぐことができるものです。

多数の死傷者が発生してしまう 自動車の正面衝突事故
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開発した専用機械でセンターライン上に凹型の溝を等間隔・連続で設けます。既設路面に簡単に設置することができます。

凹型のため破損が少なく、除雪作業の妨げにもなりません。このため、この工法は雪国の北海道から採用され始まりました。

2002年に実用化して以来、車線逸脱による事故防止対策として、大きな効果を発揮しています(右下図参照)。NIPPO開発者の交通事故撲滅に向けた強い願いが結実しました。

 (独)土木研究所寒地土木研究所との共同開発で実現しました。
優れた施工技術として、国土交通省の「推奨技術」に指定され、現在では北海道以外でも広く使われています。

●設置箇所における事前事後の正面衝突事故件数
異型車輪の採用により、断続的に凹みを形成
(独)土木研究所 寒地土木研究所の推奨パターン
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交通安全、環境保全、工期短縮、低コストなど、道路舗装に対する要望は高度化・多様化しています。新しい発想と創意工夫により、NIPPOは続々と新しい機械を開発してきました。ここでは、NIPPOの機械エンジニアのアイデアや情熱が結実した作品の一部をご紹介します。
世界で初めて舗装分野でICTを導入
高度情報化施工技術

ICT(情報通信技術)が年々進化する中、NIPPO
は、測位衛星システムとレーザ技術を組み合わ
せた「NSPシステム」を世界で初めてアスファルト
舗装に導入しました。NSPシステムTSシステ
の導入により、出来形精度の向上や安全性
の向上などの効果が出ています。

あえて悪路を造り出す機械
カントリーフィニッシャ

自動車メーカーのテストコース用にあえて悪路(わだち路)を造り出すアスファルトフィニッシャです。路面を波打たせることで速度抑制を促す「スピードセーブ工法」にも使われています。
走りながら空隙詰まりを除去
排水性舗装機能回復車

アスファルト舗装表面の雨水を吸収し、騒音も抑制する効果がある排水性舗装(「パービアス」など)。空隙詰まりで低下した排水機能の回復を図るため、トルネードによる高い水圧で、走行しながら洗浄できる機械です(「パービアスクリーン工法」)。