社外取締役インタビュー

当社では、社会インフラの整備を担う企業集団として、将来にわたって安定成長を継続するため、中長期的な企業価値の向上やそれを支えるコーポレート・ガバナンスの強化などに取り組んでおります。
当社の代表取締役社長と社外取締役2名に、当社の社風や企業価値の源泉、コーポレートガバナンスに対する印象や将来性などを質問しました。

コミュニケーションを促進し、若手社員の元気が溢れる会社だと将来が明るい 社外取締役木村 孟

選任理由

土木工学、土質工学を専門とし、東京工業大学において長く教育・研究に携わり、また同大学の学長を務めるなど、高度の専門知識と大学経営における豊富な経験を有していることから、当社経営に対して有益な指導・助言を行い、客観的かつ公正な立場で経営の監督を行う相当程度の知見を有していると認められているため。

略歴

1961年4月 当社入社
1965年6月 当社退社
東京工業大学理工学部 助手
1982年3月 同大学工学部 教授
1993年10月 同大学 学長
1998年3月 東京工業大学 定年退官 名誉教授
1998年3月 学位授与機構 機構長
2009年4月 文部科学省 顧問
独立行政法人大学評価・学位授与機構
特任教授
2012年9月 当社顧問
2015年4月 独立行政法人大学評価・学位授与機構 顧問
2015年6月 当社 社外取締役就任(現任)
2016年4月 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構 顧問(現任)

“インタビュー

『 木村取締役は、東京工業大学で長年研究と大学経営等に携わってこられましたが、大切にされてきたことは何でしょうか? 』

私が学長をしていた時期は、大学院重点化という大改革の真っただ中で、非常に苦労をしました。

就任当初、先生方の間では大学経営側から抑えられているとか、自分達の意見がなかなか通らないというような不満が渦巻いていました。そのような不満を少しでも解消するために徹底したコミュニケーションを図ることにしました。例えば、予算が少ないという不満の解消のため、文部科学省への予算要求の際に、先生方にも文部科学省と大学事務局との交渉の場に同席していただき、その過程を目の当たりしていただいて理解を促す工夫もいたしました。このようなさまざまな取り組みが奏功し、徐々に風通しが良くなっていきました。

大学もNIPPOのような企業も組織体として、コミュニケーションを図ることの重要性は同じだと考えます。

『 顧問、その後、社外取締役に就任の際、NIPPOの社風や社員の気質などをどのように感じられましたか? 』

違和感は全然ありませんでした。と言いますのは、私は大学を卒業して最初に就職したのがNIPPOの前身である日本鋪道でした。入社して3年経った頃、東工大に新しい学科が開設されるから助手を務めないかと誘われて転職しました。2012年(平成24年)には、昔勤めていた会社から顧問就任の依頼が来た時には大変驚きましたが、改めてNIPPOのために働けるぞ!と非常に感激いたしました。

私がNIPPOに入社した1961年(昭和36年)当時の社風は、トップダウンオンリーで、ボトムアップは皆無と言っていいほどでした。50年の歳月が過ぎて、2012年(平成24年)の顧問就任時は、民主的といいますか、ボトムアップのメカニズムがよくできているように感じました。

東工大の学長の時代、ボトムアップの重要性を感じて、どんなことでも気軽に意見が上申できるメカニズムを築きました。しかし、どんな提案でも受け入れるのではなく、可能なこと、不可能なことをあらかじめ大筋で示しておいて、その上でアイデアや意見を寄せてもらい、自分の判断で取捨選択をした上で実行に移しました。このようなメカニズムが2012年当時のNIPPOでは既に構築されていたと私は感じました。

社風を一言でいえば堅実経営、真面目、朴訥です。さらに「不思議な会社」とも表現できます。困難に直面した時に必ず良い知恵を出す人が出てくるのです。人材のバランスが取れている、人材の幅が広いということだと思います。それが会社として絶えず新技術を生み出せる能力につながっているのではないでしょうか。

『 当社の事業の全体像をどのように捉えていますか? 』

NIPPOはインフラ整備、その中の道路整備が主体の会社です。最近では、事業の幅を広げていて、建設事業や開発事業など活躍する領域を拡大させていますが、これは非常に良いことだと考えます。建設事業や開発事業などのスタート時には、先行きに懸念を示す向きもあったようですが、私は、NIPPOは将来をしっかり見通している会社であり、大きくつまづくことはないと思っていました。2010年前後、インフラ整備に関する国家予算が大きく削られた時代、舗装土木事業以外の事業が経営の支えになったことから見ても、事業の多角化は正しい選択であったと考えます。

『 現在、当社は、国内各地にグループ会社を設立もしくは資本参加して、全国展開を図る施策「地域戦略」を進めています。道路舗装業界のみならず、建設業界でも類がない展開ですが、社外取締役としてどのようにお考えでしょうか? 』

従来の経営路線から大きく変わる方向に進んでいますが、現在の市場環境を考えるとベストな方法ではないかと思っています。恐らく同業他社も同じような発想があったのではないかと推察しますが、他社に先駆けて戦略を打ち出したことは、非常に高く評価できます。

ただ、あくまで現在の市場環境に則した戦略であって、この状況がこの先も続くかどうか、私自身もよく分かりません。この施策の修正が迫られた時に、いかに知恵を絞って素早く対応できるかが今後の課題ではないかと思います。

また、NIPPOは高い技術開発力を大きな強みとしています。フィルダムの斜面をアスファルトで固めるダムフェーシング工法や、日本初の高速道路である名神高速道路の特命での施工、国内シェアのほとんどを占める自動車テストコースの施工などは、圧倒的な技術開発力が開花した結果だと思います。こうしたNIPPOの技術開発力をグループ会社にも浸透させることができれば、たとえ市場環境が変わっても、事業を安定的に継続できると考えます。

さらに、グループ会社から市場のきめ細かなニーズや要求がNIPPO本体に上がってきて、グループを挙げて課題の解決を図ることができるような、縦横無尽なコミュニケーションがより一層大事になると思います。

『 社外取締役として果たすべき役割や会社から期待されていることは? 』

経営に対する監督などいろいろとありますが、持続的な成長の観点から特に技術面、研究開発面での助言ができればと考えています。先ほど申した、グループ会社から上がってきた課題や問題を処理して対応する際には、「研究」という過程が入ってきます。

大学での研究と同様で、研究開発ではPDCAサイクルが重要になります。まずは何が問題なのかを徹底的に洗い出すことです。研究を進める途中で方向を見失う可能性もありますので、ターゲットをきっちりと設定することが大事です。研究方法はいろいろとありますから、どれを選択するのかについてボトムアップで意見が上ってくるようにしておくのが望ましい。最後に必ずチェック、即ち評価をして、修正すべきことがあれば改善する。このようなメカニズムが必要です。このPDCAを回す上で、これまでの私の知見が活かされればと考えています。

『 社外取締役として出席されている取締役会について、どのようにお感じでしょうか? 』

NIPPOの取締役会は、非常に民主的・理知的に運営されていると思います。既に取締役会に議題が出されるまでに充分議論がなされているからでしょうが、取締役の皆さんが非常に自然体で、どこからも圧力を受けていないと感じます。

また、NIPPOはJXTGグループの一員ではありますが、親会社からの独立性はしっかり保たれていて、関係性は極めて良好だとみています。取締役会で親会社から状況の説明があった後、「NIPPOではどうしますか?」という問題提起はなされますが、指図されたり命令されることは皆無です。

『 社外取締役の役割の1つとして、「独立した立場で、少数株主その他のステークホルダーの考えや意見を取締役会に反映させているか?」とコーポレートガバナンスコードで示されていますが、いかがでしょうか? 』

今お尋ねの目線で私自身は出席し、発言しています。ステークホルダー重視、少数株主重視という今の時代の流れと、企業の進むべき方向が合致していなければいけないと思っています。その点からいうと、私自身社外取締役の1人として、ステークホルダー・少数株主重視の姿勢を示していかなければならないと考えます。

既にNIPPOの経営のベースとして、ステークホルダー・少数株主重視が実践されていると認識しています。

『 良い会社の条件というのは、どういうものだとお考えでしょうか? 』

良い会社の条件を一言で言えば、「物言えば唇寒し」がない会社ではないでしょうか。

組織体として、皆が皆、意見を言い出すと収拾がつかず大変なことではありますが、さまざまな声が経営上層部に届くシステムは必要です。冒頭申し上げた通り、正しいコミュニケーションシステムの構築を絶えず維持していくことは不可欠だと思います。

『 2018年度を初年度とする「中長期経営ビジョン」や、当社の将来やビジョンについて、どのような印象を持っておられますか? 』

NIPPOの事業活動の主体はインフラづくりですので、経営が事業環境の影響を大きく受けることが多々あります。その点も十分に勘案されており、「中長期経営ビジョン」は社風通りで、非常に堅実なものになっているという印象を受けました。皆が意見を出し合った結果、落ち着くところに落ち着いたという印象です。

将来にわたって企業が安定成長を図るには、コンプライアンスの徹底は必須です。現在、時代の流れは日本的な慣行とは違った、欧米発のグローバルスタンダードの方向に向かっています。私個人的には若干の違和感を感じますが、やはりインターナショナルなルールに則した経営は不可欠です。

『 最後に、NIPPOに期待すること、伝えたいことがありましたらお話しください。 』

繰り返しになりますが、コミュニケーションを良くするためには、まずは「自分の意見は言う」ということです。しかし、若い人達にとって、その環境が整っていないと、言いたいことも言えないでしょう。ですから、会社の体制として、若い人達が自由に物を言える雰囲気をつくることが大切です。

東工大で勤務していた頃、研究室選択にあたり学生からどの研究室に入ったらいいのか相談されたことが度々ありました。その時、「いろいろと研究室を見て、一番騒がしい研究室にしたらいい」とアドバイスすることにしていました。にぎやかな研究室ではパフォーマンスが良く成果が上がりますが、指導にやたら厳しくて怖い先生のいる研究室はうまく行かないという例をよく見てきました。若い人達の元気が溢れているとパフォーマンスが良いというのは、大学も企業も同じではないでしょうか。

『 本日はどうもありがとうございました。 』